ハウス・オブ・ザ・ドラゴンで語られる ターガリエン王朝 と、ゲーム・オブ・スローンズ の主人公 デナーリス や ジョン・スノウ のつながりを整理するため、家系図にまとめてみました。
この家系図からそれぞれの時代を切り取って、時系列順に歴史を紐解いてみたいと思います。
一部ネタバレを含みますので、ご注意ください。
登場ドラゴンの一覧はこちらの記事をご覧ください。

① ターガリエン王朝の始まり〜ハウス・オブ・ザ・ドラゴンの前史〜
ターガリエンの故郷 ドラゴンストーンへの移住
エッソス大陸には、世界の半分を統べるといわれる ヴァリリア帝国 がありました。
その帝国内の下級貴族であったターガリエン家でしたが、一族の者がヴァリリアの破滅を予見します。
当時のターガリエン家当主は、ヴァリリアに所有している土地を全て売り払い、帝国の最西端、エッソス大陸とウェスタロス大陸の間にある島、ドラゴンストーン に移住しました。
そして、予見のとおり、ヴァリリアは災厄〈破滅〉に見舞われます。
それは、土地が破壊され海に沈み、結果文明が滅んでしまう恐ろしい異常現象でした。
この辺りのお話は原作で描かれています。
まさにハウス・オブ・ザ・ドラゴンやゲーム・オブ・スローンズのベースとなる物語なので一読の価値ありです。
エイゴン登場
数世代を経て、ターガリエン家に エイゴン という男が現れます。
エイゴンは妻にした自分の姉妹と共にドラゴンと軍を率い、ウェスタロス大陸に侵攻します。
当時のウェスタロスには強大な七つの王国がありましたが、ドラゴンの猛威により、ドーン を除いた六つの王国がエイゴンに膝を屈しました。
ここに エイゴン征服王 が誕生しました。
ドラゴンストーンからウェスタロスへの侵攻時に、エイゴンが着陸した上陸地点に”キングスランディング”を建設します。
エイゴンと姉の ヴィセーニア との間に メイゴル1世(残酷王)、妹の レイニス との間には エイニス1世 が生まれます。
エイニス1世とメイゴル1世、そしてジェヘアリーズ1世の時代
征服王エイゴン1世の後をついだのは長男のエイニス1世でした。
彼の時代になり、以前より問題となっていたヴァリリアとウェスタロスでの文化の違いが浮き彫りとなってきます。
ヴァリリアでは一夫多妻制や近新婚が普通だったのに対し、ウェスタロスでは一夫一婦制で近親婚はタブー視されていました。
その文化の軋轢は、エイニス1世の子供が兄妹婚したことで決定的になります。
ウェスタロスの宗教を取り仕切る教団は、エイニス1世に反乱を起こします。
エイニス1世はなんとか逃亡しますが、逃亡先のドラゴンストーンで病没してしまいます。
エイゴンの姉で妻のヴィセーニアは、その武勇と操る強力なドラゴンにより、エイゴンの時代からの実力者でした。
彼女は、エイニス1世の死に乗じ、息子の メイゴル1世 を王位につけてしまいます。
しかし、王位継承順位は法律で厳格に決まっており、メイゴルはエイニス1世の男子よりも継承権は下でした。
そのことにより、メイゴルの即位には多くの人々の反発がありました。
メイゴルは異議を申し立てた人々や、法律違反を指摘した人、その法律を司る教団の信徒もろもろを、自身のドラゴンで全て焼き殺してしまいます。
更に、メイゴルの暴挙は続きます。
甥や妻とその実家の面々を殺害し、妻たちに子供が出来ないため、出産したことのある未亡人を拉致し、強制的に結婚してしまいます。
しかし、拉致した未亡人たちから生まれてくる子供は、みな異形の姿で、死にながらにして生まれてくるばかり。
メイゴルの3番目の妻が、毒と魔術で子供達を死産にさせたことを暴露すると、メイゴルは怒りのままに、その妻の心臓を生きたままえぐり取り殺害します。
数々の暴挙によりメイゴルは見限られてしまいます。
それに反比例する形で、エイニス1世の遺児、ジェヘアリーズ1世(老王) へ支持が集まります。
味方がいなくなったメイゴルは鉄の玉座で憤死し、ジェヘアリーズ1世が即位します。
ジェヘアリーズ1世は、60年近くにわたり王国を統治し、ウェスタロスは平和と繁栄の時代を迎えました。
ジェヘアリーズ1世により永きに渡り繁栄したウェスタロスでしたが、後継者問題が持ち上がってきます。
王には多くの子供がいましたが、息子たちは死に絶え、王位継承に暗雲が立ち込める状況となっていました。
② ハウス・オブ・ザ・ドラゴンの時代
ヴィセーリス1世の時代

ハウス・オブ・ザ・ドラゴンの物語はここから始まります。
ジェヘアリーズ1世は、王位継承者を平和裡に決めるため、各地の諸侯も含めた大評議会を開きます。
最終的な候補は2人。長子エイモンの遺児で最年長の孫である レイニス。
対して、息子のベイロンと娘のアリッサの子である ヴィセーリス。
この二人の候補から最終的に大評議会が選んだのがヴィセーリスでした。
そのため、レイニスは <戴冠せざりし女王> と皮肉な異名で呼ばれることがドラマ中でも多々あります。
しばらくの間無難な統治を続け、国内を安定させたヴィセーリス1世でしたが、彼にも後継者問題がのしかかってきます。
ヴィセーリスは男子が生まれるよう何度もチャレンジしますが、最愛の妻エイマから生まれ、生き残ったのは娘の レイニラ ただ独りでした。
後年になり、エイマは難産の末男子を出産しますが、エイマ自身も生まれた息子も帰らぬ人になってしまいます。
ヴィセーリスは唯一の子であるレイニラに跡を継がせることに決めます。
しかし、小評議会やヴィセーリスの弟デイモンはこの決断に反感をいだきます。


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後継者レイニラと後妻アリセントの息子たち

ヴィセーリスが妻エイマの死から立ち直れない日々が続くなか、王の手(王の参謀)である オットー・ハイタワー は娘の アリセント にヴィセーリスを慰めさせます。
ヴィセーリスはアリセントを気に入り後妻に迎えます。
すると、まさかの男子を授かり後継者問題が再燃します。
生まれたのは、エイゴン2世、ヘレイナ、エイモンド、デイロン です。
ヴィセーリスに後継者として指名されたレイニラ <黒装派> とヴィセーリスの後妻アリセントと、この息子たち、エイゴン2世、エイモンド <翠装派> の争いとして、ハウス・オブ・ザ・ドラゴンの物語は進んでいきます。
③ ハウス・オブ・ザ・ドラゴンとゲーム・オブ・スローンズの間の時代
ハウス・オブ・ザ・ドラゴンの後のターガリエンたち
レイニラはヴィセーリスの弟である叔父の デイモン と結婚し、そこに生まれたのが エイゴン3世 と ヴィセーリス2世 です。
ナンバーがついていることからも分かる通り、アリセントの長男エイゴン2世の次を継ぐのは、このエイゴン3世やヴィセーリス2世になります。
エイゴン2世には デイロン1世 が生まれ王位を継ぎますが、兄のエイゴン2世の血筋からヴィセーリス2世の血筋に王家はシフトします。
ヴィセーリス2世からは エイゴン4世 が生まれ、エイゴン4世からは デイロン2世 がうまれます。
デイロン2世からは多くの男子が誕生します。
長男の ベイラー はドーン人の母から黒髪を受け継いだ勇敢な騎士でしたが、騎士ダンクを救った際に帰らぬ人となりました。
次男には エイリス1世、三男には レーゲル、四男には メイカー1世 が生まれます。
メイカー1世も男子に恵まれますが、その息子たちは不出来揃い。
これをなんとかしようと奔走します。
長男のデイロンは臆病で酒飲み、次男のエリオンは残酷で卑劣、三男はゲーム・オブ・スローンズに登場するメイスター・エイモン です。
結局四男の エイゴン5世<不釣り合い王> が王に即位します。
不釣り合い王 エイゴン5世
エイゴン5世は、若いころはエッグと呼ばれ、優しく気さくな人柄です。
父のメイカー1世も四男、自分自身も四男と、非常に王位継承順位が低いため、王になった際に不釣り合い王と呼ばれました。
原作者の中編シリーズ「ダンクとエッグの物語」の主人公で、ダンクとともに市井に溶け込む様子やその人柄が描かれています。
気になる方はぜひ原作を読んでみてください。

La espada Leal / The Sworn Sword (Tales of Dunk and Egg)
王になってからは無難に両国を納めましたが、ターガリエンの宮殿サマーホールの火事で亡くなりました。
エイゴン5世は、原作ではエイリス2世の祖父ですが、ゲーム・オブ・スローンズではエイリス2世の父親となっています。
エイリス2世はエイゴン5世の後を継ぎ王位につきます。
しかし、ゲーム・オブ・スローンズの17年前にある大事件が勃発します。
ロバートの反乱

狂王エイリスの長男 エイガー は、ロバート・バラシオン の婚約者であった リアナ・スターク を連れて出奔します。
その行動をリアナの父リカードと兄ブランドンは、エイリスに抗議します。
しかし、エイリスは抗議した2人を処刑してしまいます。
父と兄を殺されたのがゲーム・オブ・スローンズの主人公格 エダード・スターク。
ロバートは、エダードとその舅である ジョン・アリン と共謀し、エイリスに反旗を翻しました。
これがロバートの反乱といわれる事件です。
結局、エイリスは自身の王の盾 ジェイミー・ラニスター(キングスレイヤー)に討たれ、ロバートが新王朝を樹立しました。
残ったターガリエン
ロバートの反乱の際に、狂王エイリスの次男 ヴィセーリス と娘の デナーリス はエッソス大陸に落ち延びました。
また、エイガーの正妻であった エリア・マルテル は グレガー・クレゲイン(マウンテン)に惨殺されてしまいます。
この時点で残っているターガリエンの血を引く人間は、“壁”にいるエイモン、出奔したエイガー、その弟ヴィセーリスと妹デナーリスのみとなっています。
④ ゲーム・オブ・スローンズの時代
エイゴンとジョン・スノウ
ロバートの反乱から17年後がゲーム・オブ・スローンズの舞台です。
前項で触れたように、ターガリエン家は既に没落し、ウェスタロスはロバートの手に落ちています。
エイガーとエリア・マルテルの間にはエイゴンが生まれていましたが、ロバートの反乱時にマウンテンに殺された、とされていました。
しかし実際は、エイガーの親友である ジョン・コニントン に引き取られ、息子のグリフとして生き延びていました。
ジョンはエイゴンをウェスタロスの王にするため、デナーリスに会いにいきます。
エッソスの南西の都市ヴォランティスでデナーリスと会いますが・・・
というのが原作の話です。
詳しく知りたい方は、原作とドラマ版を見比べるのもまた一興。

ゲーム・オブ・スローンズでは、このエイゴンの役はジョン・スノウに置き換わっています。
エダードはロバートの反乱後に、ジョンをウィンターフェルに連れてきました。
エダードの私生児とされたことから、エダードの妻・義理母 キャトリン からは蔑まれながら幼少期を過ごします。
そして、物語が始まることは20歳前後になっていました。
最後のターガリエン デナーリス
ロバートの反乱に際し、デナーリスを身ごもった母と兄ヴィセーリスはドラゴンストーンに落ち延びました。
大嵐の夜にデナーリスは生まれましたが、出産にさいして母は帰らぬ人に。
そこで付いたデナーリスのあだ名が”ストームボーン“です。
ドラゴンストーンはロバートの軍に攻められますが、ヴィセーリスとデナーリスは陥落前になんとか脱出します。
その後、王位を復権するため、エッソスの自由都市で力になってくれる人を探し歩きます。
ペントスでの有力者 イリリオ に保護されます。
ウェスタロス奪還のため、イリリオとヴィセーリスは、遊牧民ドスラクの兵力に目をつけます。
族長 カール・ドロゴ に同盟を持ちかけ、デナーリスを嫁におくります。

同盟なったヴィセーリスとカール・ドロゴでしたが、ヴィセーリスが執拗にウェスタロスへの侵攻をせっつくことと、身籠ったデナーリスに危害を加えようとしたことに怒ったドロゴに殺されてしまいます。
これで、正式なターガリエンはデナーリス一人(エイモンはまだ生きていますが)になってしまいました。
改めて書き起こすと壮大過ぎて、中々語り尽くせないですね。
ドラマは題名の通り、ハウス・オブ・ザ・ドラゴン=ドラゴン(ターガリエン家)のお家騒動、ゲーム・オブ・スローンズ=王冠争い、と(当然ですが)秀逸なタイトルだと思います。
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HODやGOTが好きな方は、原作本やBlu-ray、またはガイドブックを見てみるのもおすすめです!

ゲーム・オブ・スローンズ:コンプリート・シリーズ公式ブック ウェスタロスとその向こうへ
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